初めて出産を迎えるママや第一子を出産したママは、全てが初めての経験で不安や悩みもいっぱいあると思います。出産後は体も心も思うようにコントロールできず、自分自身の変化に戸惑ってしまうママも多いはず…。
産後の体がどんな状態なのか、パートナーと一緒に知っておくことも大切です😌
今回はマドレボニータの共同代表理事、産後セルフケアインストラクターとして活動されている山本裕子さんにお話を伺いました。
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産後こんなにも体の変化があるとは思わず、里帰り出産をしませんでした。パートナーも夜間しか家にいないので、日中は思うように体を休ませることができません。どのくらいから元の生活に戻れますか?
産後の体の変化について
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産後の体の変化については、わかっているようで、全然知らなかった!ということが多いですよね。
山本さん 実際に、私も第一子の産後はそうでした。
講座でも実際に出産された方から「こんなに大変だとは知らなかった」「もっと早く知りたかった!」という声をたくさん聞きます。
出産後の女性の体は、よく「全治2ヶ月の怪我と同じ」状態と例えられます。これは、胎盤が剥がれて子宮の内側に大きな生傷ができるからという理由に加え、お産は「生理的な捻挫」と言われるほど、体に負担がかかるからです。
このような状態で、産後すぐに日常生活に戻ろうとすると、体調が回復するどころか悪化してしまうこともあります。しかし、家事や育児に追われる中で、自分の体を休める時間を確保するのは難しいのが現実です。
山本さん その結果、産後うつ・乳児虐待・夫婦不和などの産後の社会問題が増えています。
産後ケアは「段階」が必要
産後の体を無理なく回復させ、本来持つ力を発揮するためには、段階的なケアが必要です。以下のステップを意識して過ごしてみてください。
①産後6〜8週間(産じょく期):体を徹底的に休める
出産直後の「産じょく期」は、骨盤や内臓を重力から守り、体を回復させるための大切な時期です。この期間は、周囲のサポートを受けながら、できるだけ横になって過ごしましょう。山本さん この時期は「1人で頑張らないことを頑張る」時期です。
②産後2−6ヶ月:リハビリ期
産じょく期が過ぎると、徐々に体力や筋力を取り戻すリハビリ期に入ります。この時期にはバランスボールを使った有酸素運動やストレッチを取り入れ、体を整えることが重要です。山本さん 赤ちゃんと一緒でも集中して運動できる時期は、実はこの時期だけ。気持ちよさにハマります!
③産後7ヶ月〜1年:社会復帰準備期
リハビリが終わったら、今度は社会復帰準備期です。再び社会と繋がるために、託児の練習をしたり、仕事に関することを勉強したり、家事育児の分担を考えたり・・・そういう準備に夫婦で一緒に取り組むことで、安心して社会復帰できる環境を整えたり、お互いの人生を応援し合える関係性を改めて作っていくことができます。産後は段階に応じて、どんな過ごし方をするか妊娠中からパートナーと共有しておくことも大事ですね!
産後の体がしっかりと回復すると、心も軽やかになり、「我が子がさらに愛おしい!」と感じる時間が増えていきます。
山本さん 「もう産じょく期を過ぎてしまった…」という方も大丈夫。
子育てがますます大変になっていくからこそ、今からでも体制を立て直すことが大切です。適切なケアを始めることで、体調が整い、子どもとの時間をより楽しむ余裕が生まれるはずですよ。
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パートナーと産後の状態を共有するにはどうしたら良いですか?つい、イライラしてパートナーに八つ当たりしてしまい後悔することも多くなりました。
気持ちの変化について
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山本さん 痛いほどわかります!私自身も第一子出産後、いや、今でもうっかりすると夫にイライラしてしまうことがあります。
そしてその後、「本当は意地悪したいわけじゃないのに…」と自己嫌悪。
よくよく考えると、心の奥では「私の大変さをわかってほしい」「もっと一緒に子育てしている実感がほしい」という気持ちがあるんですよね。でも、それを素直に伝えられない自分にモヤモヤしてしまうのです。
なぜこんな状況になるのか?
その大きな原因は、産後に体力が落ち、冷静に気持ちを伝えるだけの余裕がないことです。
「夫をどうイクメンに育てよう?」と方法ばかりに目を向けたり、「期待しない方が楽だ」と諦めてしまう人もいます。でも、これを続けると家庭内の雰囲気はますます悪くなっていくばかりです。解決のカギは「産後のリハビリ」
産後に体力を取り戻せば、自分を客観的に見つめる余裕が生まれます。そして、対話を通じて「本当はどうしたいのか?」と自分の気持ちを整理し、その願いを叶える方法を見つけられるようになります。
こうした知識や対策を女性だけでなく、男性も理解していると理想的ですが、残念ながら「いくら言っても夫に伝わらない…」という声も多いです。
山本さん 夫婦のコミュニケーションって、本当に難しいですよね。
カップルで学べる「産後ケア講座」
そんな時におすすめなのが、マドレボニータの「カップルで学ぶ産後ケア~産後クライシスを乗り切ろう」という講座です。
この講座では、産後の体や心の変化について学ぶだけでなく、カップルでお互いの気持ちを言葉にする時間が設けられています。他の参加者や講師の話がきっかけで、気づきを得られることも。
参加者の声:
•女性:「私の気持ちを代弁してもらえた!」「夫の考えていることが知れて嬉しかった」
•男性:「データで説明されて納得した」「妻の状態を初めて理解できた」この講座はオンラインの他、岐阜では月1回、対面での開催もありますので、ぜひカップルでご参加ください。
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パートナーと一緒に育児に参加したいです。パートナーに向けてアドバイスをお願いします。
パートナーへのアドバイス
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男性も悩む産後の現実──頑張るパパを支えるために
最近では、「子育てに積極的に関わりたい!」「パートナーを支えたい!」と考える男性が増えてきています。現場でも、その熱意を感じる場面が多々あります。
一方で、「制度は整ってきたけれど、正直、うちの会社では育休を取るのは難しい…」と肩身が狭そうに話してくださる男性も少なくありません。山本さん 家庭でも、職場でも「頑張れ!」と期待され、板挟みになってしんどさを感じている男性も多いのではないでしょうか。
実際、産後は女性だけの問題ではありません。最近では、精神的なプレッシャーや責任感から、男性が産後うつを発症するケースも増えています。子育ては夫婦で乗り越える「一大プロジェクト」
「ママがこんなに大変なんだから、パパももっと頑張って支えて!」ということではありません。
山本さん お互い大変な時期だから、どう乗り越えていくかを一緒に考えて欲しい。
ここで男性の出番です!男性には「子育て」という家族全体のプロジェクトリーダーになってほしいのです。
帰宅が遅くて、物理的に育児に関わるのが難しい日もあるかもしれません。でも、そんな時でも大切なのは、「パートナーが何を不安に感じ、何に困っているのか」を知り、一緒に解決策を考えることです。そうした姿勢が、女性にとっては何よりの信頼感や安心感につながります。パートナーのサポートが家庭を変える
マドレボニータが行ったアンケートでも、「パートナーのサポートへの満足度が高いほど、離婚への意識が低い」というデータが明らかになっています。それだけ、夫婦間のサポートは家庭の安定に直結するのです。
産後は、カップルにとってまさに「踏ん張り期」。だからこそ、お互いに力を合わせて乗り越えることが重要です。
山本さん ここを一緒に乗り越えた夫婦は、きっと「最強のチーム」になれるはずです。
もしも二人だけでは乗り越えるのが難しいと感じたら、遠慮せずに頼れるサポートを探してみてください。私たちもいつでもお手伝いします。
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マドレボニータさんの活動を教えてください。
マドレボニータさんの活動について
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⚫︎みんなで学ぶ産後ケア初級編「本当に必要な産後ケアとは?」
産後1年間はその時期により適切なステップと具体的な取り組みが必要なのだということを、オンラインでランチタイムの30分でギュッと凝縮して学べる講座です。
参加対象は、産前・産後の方、そのパートナーやご家族、職場の方・ご友人・大切な人が産後を迎える方など、どなたでもOK!◉産後2ヶ月から始める「産後ケア教室」
出産した女性のための、全4回コースのセルフケア教室です。産後の身体を回復させるための有酸素運動と、大人同士のコミュニケーションを通じて、母となった女性が心も体も元気になっていくことを目指したプログラムです。
参加された方からは「1ヶ月でこんなに元気になれるとは思わなかった!」と驚きの声が続出。岐阜では、敷島町の子育て応援施設Primroseにて、火曜日もしくは水曜日に開催しています。その他、産前産後にまつわるいろいろな講座を開催しています。
みなさんの産後の毎日が楽しく、豊かなものになりますように。
山本さん 本当に望む未来の自分への道を探していきましょう!
監修 プロフィール

監修:山本 裕子
プロフィール
岐阜で生まれ育った生粋の地元人。
大学卒業後にホテル勤務を経て結婚し、2005年に第1子を出産。産後の辛さや孤立感を経験し、2010年に認定インストラクターに。2013年には第2子を出産し、育児の本当の楽しさを実感しました。
2020年に共同代表に就任し、広い視点から産後ケアの普及に取り組んでいます。
プライベートでは、19歳と11歳の年の差きょうだいの母。今だからこそ感じる産後ケアの大切さを、次世代へ伝えています。
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